抽象


フランシス・ベーコンの絵が深夜のテレビに映し出されていた。彼の絵には人間の本質があり、その眼差しが物語を紡ぎ出す。僕は子供の頃に観たホアン・ミロの絵が好きだった。世界をあんな風に観ていたかった。今、表現とはベーコンのような眼を持つことなのだろう。しかし僕は、何者でもない抽象でありたかったのだ。