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雀荘の息子


麻雀放浪記

ギャンブルはそれで生計をたてたり、一攫千金を夢見れば地獄だが、大きく負けなければいいと思えば他の趣味と比べてもまったく金のかからない遊びで頭の体操にもなる。もっともパチンコとカジノに関しては回収する方法は私には見当もつかない。店を始めてからは一度もやった事はないが、それ以前は毎晩のように麻雀を打っていた時期がある。その頃卓を囲んだいろいろな連中の中に雀荘の息子がいた。彼は「雀荘にはタチの悪い連中もくるので一通りのイカサマも覚えたが、修羅場になるので自分で使う事はない」と言う。そこで「何でもありでやってみようか。イカサマがみつかればチョンボと同じ満貫払いという事でいいよ」と言ってみた。手先が人一倍不器用なこちらにできることは、積み込みができないように混ぜる事と観察しかない。局が進み、自分の手牌には清一色の勝負手が入っていた。彼は上家の親だ。手牌はすべて同一色になっていたが和了はしておらず、捨てる碑に悩んだ。そして次の順にその親からのリーチがかかったのだ。私が「積もれ」と引いた碑を盲牌すると、それは”東”だった。その碑は親が2碑捨てていることは覚えており、瞬時に積もぎった。すると彼から「ロン」という声がかかった。「えっ」と彼の捨て碑を見ると、”東”などどこにもない。おそらくこちらが捨て碑を悩んだわずかな間に、河にある”東”を拾い、一枚を手牌の単騎待ちの碑と入れ替え、もう一枚の”東”は自碑をツモる時に次の私のツモ碑とすり替えたのだ。捨て碑をみれば放銃は防げる事だったが、勝負手だった私がどう反応するのか試してみたくなったのだろう。雀荘の息子はニヤリと笑い、「親のリーチ一発チートイドラドラ」と言った。私は苦笑しながら”1万8千点”を支払うしかなかった。

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