500マイルも離れて


音楽への憎しみ

ラジオのニュース番組で知ったフジロックでの「音楽に政治を持ち込むな」論争には驚いた。クラシックは権力と密接に結びつき、明治期のこの国に西洋音楽が持ち込まれたのも、西欧列強に対抗する人心を鼓舞するためのものだった。今も、愛や絆や家族や美しい国と歌うほどに政治に利用されてしまう。池田晶子が確か、「倫理とは自由である。そして道徳とは強制である。」と語っていたが、この国の倫理はどこに消えたのか。

重版出来


あまり観なくなったテレビドラマだが、今期は「重版出来」が毎週の楽しみだった。テレビ東京の「まほろ駅前番外地」で初めて見てファンになった黒木華の久しぶりのコメディエンヌ、いいなあ。沁みるドラマだったが、今日で最終回になってしまった。満島ひかりの演技に釘付けの「トットテレビ」も観ている。あっ、かかさず観ていた「ディアスポリス」も今日で最終回だった。

ヤップ島


ヤップ島
貨幣論

丑三つ時の静けさが好きだ。日本酒をチビリチビリと飲みながらNHKの画面をぼんやりと眺めていると、ヤップ島の風景が映し出された。その中で見た巨大な石貨は新鮮だった。石を切り出し、舟で運ぶその苦労に価値がつけられる。今では貨幣自体が過去のものになりつつあり、どこかで数字が移動しているだけで何の重みもなく、その数字はただ一極に集中していく。などと思っていると酒も進み番組は終わり、いつのまにか魑魅魍魎たちも帰る時間になってしまった。酒を飲むとしんどい事の方が多いと思ったりもするけれど、結局しんどい分だけ楽しさはあるのだ。今夜は大好きな貞子か伽倻子にもう少しだけ付き合ってもらおう。

銀河鉄道の夜


わびしさやせつなさやはかなさ、そして尽きることのない孤独が人生は面白いと思わせてくれる。それとまったく同じ感情がヘイトや絶望を生む。その果てしのない隙間を埋めるために表現はあると思えた。僕も今を生きるすべての人と同じように、この天空に散りばめられた星の活字を拾い集めて、何か言いたかった事があるような気がしていたが、それはやっぱり永遠の徒労に過ぎない。僕がふと感じるむなしさは、この世界を動かしているポピュリズムと何ひとつ変わらないのだ。