競馬


競馬を始めてから何十年もたつが、日曜の重賞は欠かさずに買っているので、こんなに長く馬券を買えない日がくるとは思ってもみなかった。近頃はボチボチと毎週3~5千円、JRA貯金を続けていた。本当に「困ったなあ」という時にまとめて戻してくれればいいのだと。しかし100円馬券で大きく払い戻すには、3連単を的中させなければほとんど無理だが、20点程度までの買い目では狙っていた馬が馬券圏内に来ても買い方が難しい。そして大波乱の馬券を的中させるには、いつ来るかわからない好きなムラ馬を買い続けるしかない。馬券の発売が中止になる前の週のG1、フェブラリーSは最低人気のケイティブレイブが2着に来てくれた。馬単、3連複、ワイドは的中したのだが、3連単は普段の買い方の1着2着は1番人気との裏表にし、3着に5~7頭とすればよかったのだが、3着というイメージが強くなりすぎて3連単は3頭BOXの6点にし、ワイドを手広く買ってしまった。こんな事ばかりなので、JRA貯金はまだまだたくさん残っている。土曜で馬券は買いに行けなかったが、ダイヤモンドSで最低人気で1着に来たミライヘノツバサも買い続けていた馬だ。ネットでとも思ったのだが、始まったばかりの電話投票を使っていた頃があったが、これがまったく面白くないのだ。口座の数字をただ確認するだけになり、少しでも減らさず増やそうと1番人気の単勝に大きく賭けたりと、買い方まで変わってしまったという事があったので、やめておく事にした。その内に競馬場も再開されるだろうし、人気薄で助けてくれる好きな馬もまた現れるだろう。
馬券は買っていないが、土日の競馬中継は変わらずに観ている。馬券を持っていないので、馬番を気にせずに強い馬の走りをじっくりと観戦できる。そうしていると競馬を始めた頃の馬たちの物語を思い出していた。”流星の貴公子”テンポイントは、伝貧で殺処分にされるはずだった祖母(ドラマでは連れて逃げる厩務員を緒形拳が演じていた)や、ライバルとの三冠レースと有馬記念、最後になった海外遠征前の壮行レースでの悲劇があった。寺山修司はライバルのトウショウボーイを『叙事詩 海 夜明け 祖国的な理性 漢字 レスラ-的肉体美 橋または鉄骨 影なき男 防雪林』、テンポイントを『叙情詩 川 たそがれ 望郷的な感情 ひらがな ボクサー的肉体美 筏またはボート 男なき影 青麦畑』と対比した。そんな風に競馬を語っていた頃があった。
先日のダートのユニコーンSでデビューから3連勝をしたカフェファラオは圧倒的な強さだった。スピードよりもパワーのダート競馬は好きで、人気馬だがクロフネメイショウボーラーも買い続けた馬だ。日本の競馬は芝が主流のため、凱旋門賞のようなヨーロッパ競馬は話題になるが、アメリカのダート競馬には遠征する馬もあまりいない。アメリカの競馬はF1ではなくインディ500ラグビーではなくアメリカンフットボールのようにみえる。スタートから全力のパワープレイ、騎手同士の体を張ったブロック、そして力尽きたものが脱落していく。それは”ブコウスキーの世界”のようだ。9月に延期になったケンタッキーダービーを駈けるカフェファラオの姿を観てみたい。心はチャーチルダウンズ競馬場に、そして『人生はたかが1レースの競馬である』と、死ぬまで風に吹かれていたいのだ。

[JDD観戦記]
ジャパンダートダービーを圧勝して、ケンタッキーダービーに出走してほしかったカフェファラオが断然の一番人気になっていたが、惨敗してしまった。1コーナーでつまづいてバランスをくずすと走る気を失ってしまったようだ。残念でならないが、馬券的には面白いレースになった。勝ったダノンファラオはカフェファラオと同じ米三冠馬アメリカンファラオの産駒で血統は問題なく騎手は若手の坂井瑠星、成績をみると勝ったり負けたりの典型的なムラ駆けの馬で、前走は14着と惨敗し今回は6人気と人気を落としている。いかにも買いたくなるムラ馬だ。それでも3連単を買うのなら、カフェファラオとの1,2着裏表で、地方馬で可能性があるのは7人気と9人気の2頭で実質9頭立のレースなので3着に7頭の14点買いにしてしまうだろう。紛れがあると思えれば、2頭-3頭-7頭のフォーメーション21点買いにするのだが、1着にした2頭を2着,3着にも買うと残りは2着に1頭、3着に5頭で、先行力のある池添の4人気を2着に、人気薄でも押さえたい田辺の8人気を3着にとどちらもいれられるかはかなり微妙である。このレースの3連単を的中させるにはダノンファラオ一頭を1着と軸にできるかどうかだ。これだと同じ21点買いでも2着に3頭、3着に8頭買えるので、両方とも確実に入れられる。そうすると100円が77万になる。貯金はこのくらいまとめておろさせてもらいたいものだ。